ガム星雲は見えるかな?
先週はSFずくしでした。ちょくちょくコメントをくれる新潟のskameさん(いつもインスピレーションをありがとうございます)に触発されてガム星雲のことを調べていたら、SF熱が本格的に再燃してしまったのです。
まずはスタートレックシリーズのビデオを借りてきて見てみました。
最新のそれでもぼく的には宇宙観が古く、コンセプトも基本的には勧善懲悪なので、面白いけどハートを揺さぶられるような感動はなかったです。
最も感動したのは、ロバート・ゼメキス監督の映画「コンタクト」。ジョディ・フォスター主演のあれです。
この映画は歴史に残るでしょう。素晴らしい余韻を残してくれました。
天文関連の書籍も何冊か読んだのですが、中でも「別冊日経サイエンス 宇宙大航海」が面白かった。最新の宇宙論もかみ砕いて説明されており、日本の天文学の現状と、惑星探査計画のあらましがよく理解できました。
そんなこんなで無性に南の低空の空が見たくなり、18日夜、村上市の天蓋高原へ出かけました。
19日の月の入りは3時49分。1時間は闇夜が堪能できる計算。
村上市街を過ぎたら所々濃い霧に遭遇したけど、この日はきっと晴れ上がるという確信がありました。
予想に違わず、現地は快晴。そして祝祭は訪れました。
4時ジャストからひたすらとも座やほ座のあたりばかり、100mmのレンズで色々な構図で撮ってみました。
4時半を回ると東の空にくっきりと黄道光が現れ、それはぼくが意識して見るようになってきた中で最も明瞭なものでした。
一応撮る準備はしてきたので(広角レンズは持ってきたので)、しかし優先順位的には最後。1時間しか余裕がないので、各構図はコンポなしの1枚撮りで徹底。
100mmの次には50mmにチェンジ。しかし、これが余計でした。
さあこれからというときに、あっという間に空が白みはじめ、星野写真は撮れずじまい。
これがちょっと心残りでした。
EOS60D改&EF100mm F2.8L MACRO IS USM (ISO800, F2.8, 9分, IDAS P2フィルター使用)
ネットで作例を調べてみたけれど、日本ではガム星雲の半分しか見ることができないとあって、あまり参考になる作品はなかったです。作品のクオリティー的にも、地平線近くに位置しているため写りはよくないものばかり。
そんな中で、M93の周辺が星雲の濃い領域らしいと知ったので、そこにレンズを向けてみました。
M93に限っていえば、他にも視界に入る場所はたくさんあります。
しかし、それより下、スハイルアルムリフが見える場所は下越では思い当たりません。
この日は奇跡的に透明度が途中から上がり、双眼鏡でスハイルアルムリフが見えるようになりました。
今年4月、同じ場所で初めてオメガ星団を撮ったときと同じくらいの透明度にはなっていたかもしれない。
折しも獅子座流星群が活発化しており、そのせいかやたら星が流れました。
1時間で十数個は見たでしょう。結構大きなものが多く、一人至福感に酔いしれたのでした。
EOS60D改&EF100mm F2.8L MACRO IS USM (ISO800, F3.2, 7分, IDAS P2フィルター使用、トリミングあり)
上の写真は、とも座の二重星団ことM46&M47。
こうして撮ってみると、カシオペア座のそれに負けず劣らず美しいことがわかります。
今度は是非200~300mmの望遠レンズで撮ってみたい。
EOS60D改&EF100mm F2.8L MACRO IS USM (ISO800, F2.8, 8分, IDAS P2フィルター使用)
星図を見るとすぐ右隣にカモメ星雲があるので、1枚に両方とも収めてみようと構図を変えてみました。
すると、偶然ハートレー彗星が写りました。これは全く予想外。嬉しい誤算。
もうちょい右へずらせばバランスが良くなるけど、やり直す寸暇が惜しいのでスキップ。
次はいよいよ透明度の上がってきた地平線近くです。
EOS60D改&EF100mm F2.8L MACRO IS USM (ISO800, F2.8, 7分, IDAS P2フィルター使用)
時間がなくなってきたので、露出を少し切り詰めました。これが災いして(もちろんより低空なので大気の影響もあるが)、ガム星雲はうっすらとしか写っていません。
しかもP2フィルター特有の色被りがひどく、ぼくの画像処理の技量ではこれが精一杯。
縦アングルにして、まずはとも座の二重星団の下を写してみました。
手持ちのステラナビゲーターver8にはガム星雲のイラストはありません。
なので、どこに星雲があるか、手探りで探すしかないのです。
下馬評?通り、かなりの広範囲に星雲は広がっているようです。28mmくらいのレンズだと全部収まるかも。
EOS60D改&EF100mm F2.8L MACRO IS USM (ISO800, F2.8, 7分, IDAS P2フィルター使用)
いよいよ山並みを入れての撮影。
家に帰ってからじっくり何が写っているか分析してみて驚きました。
中央下の恒星はスハイルアルムリフ。その下に見えている散開星団がNGC2547。
その左にはIC2395、NGC2670なども写っています。
興奮を禁じ得ませんでした。ここはもうほ座の領域。
りゅうこつ座のにせ十字や、南天を代表する美しい星雲・イータカリーナ星雲がすぐ下にあるのですから。
それにしても、この色合いはひどい(苦笑)。そのまんまP2フィルターの色そのものじゃないか。
このフィルター、やっぱり光害地で使うのが正しいと感じます。
星雲を浮き立たせるために用いるのなら、V3かV4が王道でしょうね、持ってないけど。
ポー赤によるノータッチガイドの限界を考慮すると、結局はノーフィルターで充分だと思います。このフィルター、ドナドナ決定かな?
さて、翌日は見事に日本晴れとなりました。
こんな清々しい気分は何ヶ月ぶりだろう。
南半球の星空を拝みたくなりました。来年は絶対に行くぞ!
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こんばんは。
月が沈んでから薄明開始までの1時間ほどでこれだけの写真が撮れるのは驚きです。
新潟でのガム星雲の写真は見たことがありません。35mm位の画角で地平線を入れた構図も見てみたいですね。
次の新月期が最後のチャンスでしょうか。
天候次第ですが。
私も高陽根あたりで撮って見たくなりました。
投稿: slame | 2010年11月20日 (土) 23時57分
skameさん、こんばんは。
地平線近くにも濃い星雲が拡がっているはずなのですが、やはり大気の影響で上手く分離できません。次回はskameさんの仰るように28-35mmの焦点距離で全体像を撮ってみたいと思っています。だけど今の時期はM93がいい位置に来るのが3時頃からなので、徹夜必死。3月になればもっと早い時間帯で撮れそうですが、その頃はまだ雪に覆われていますね。旧山都町の母の実家のある船岡の裏手の田んぼの辺りなら大丈夫かも。ステラでシミュレーションすると、オメガも見えるはずなんです。今から構想はどんどん膨らみます。
次回の新月期はまだチャンスがあると思います。お互いがんばりましょうね。
投稿: 佐藤俊彦 | 2010年11月21日 (日) 00時10分