初めての天体アラカルト
昨日は昼間は雨が降ったものの、夜になると急に晴れ上がってきました。
連日の半徹夜で疲れた身体にむち打って、胎内平へ夜の10時に出撃。
雲は出ていないのだけど空全体にもやがかかったようになっており、透明度が良くありません。昨日は肉眼ではっきりわかった蟹座のプレセペも双眼鏡を使わないと見えない始末。
でも、晴れているからまあいいかっ。
この日は200mmの望遠レンズ1本で初めて撮る天体にチャレンジ。
昨日新潟の本屋であとで紹介する沼澤茂美さんの新作「星座の事典」を買ったのですが、この本お勧めです。
それまではやはり沼澤さんの「星座ガイドブック」を主に使っていました。
他にこの手のガイドブックは様々ありますが、天体写真初心者が双眼鏡や低倍率の望遠鏡で見つけやすいように配慮された本はほとんどないのが現状です。
星座の事典はこの本をより詳しくしたもので、写真の掲載数も増えとても使いやすい。まさにぼくにとっては聖書のごとき存在です。
この本を片手に7X50の双眼鏡で目指す星雲や散開星団、球状星団の場所を確認し、そこにレンズを向けます。
今日は大気の状態が良くないので探すのに非常に手間取りましたが、それでもかなり満足のいく結果が得られました。
最初の写真はふたご座にあるM35。すぐ右隣にNGC2158も小さく金色の光を放って写っています。これは拡散系フィルターを使っています。
フィルルターを使わないバージョンも撮ったのですが、それに比べて色が強調されるのでとても配置がよくわかります。でも、もっと大きく写したいところです。それにはカメラ用の望遠レンズでは難しいけれど。
次の写真はこの日の目玉、バラ星雲。
とても淡いのでほとんど勘でレンズを向けたのですが、現像してみると見事に赤い雲が浮かび上がってきました。通常HII波長の光は普通のカメラでは20%しか写らないのでどこまで色が出るか不安だったのですが、思ったより発色してくれました。
でも、まだまだ露出不足ですね。フィルター換装改造をすると、この倍くらい色が濃く出ます。
3枚目はとも座にあるM46とM47。
双眼鏡で見るともやっとしているのがわかります。もやっとしている部分にレンズを向けてみると必ず星が凝集して写るのでとても面白い。
天体写真ビギナーのぼくは、今はまだ取りあえずメジャーな天体の場所を確認し、それをカメラに収めることが目標。
写真に写ること自体が驚異であり、それだけで充分満足です。
なので、今回も全て1枚もの。ダーク減算さえしていません。
いろいろ試した結果、ステライメージに全自動で画像処理を任せた方が、ダーク減算を米ヤー配列の段階で行い、それから順を追ってマニュアルで絵を作り上げていくより手軽にいい絵を生み出せることに気づきました。
コンポジットしても2-4枚程度ではそれほど絵に差は出ません。ならば明るい望遠レンズの速射性を活かしてテンポ良くひとつでも多くの天体をカメラに収める方が今のぼくにとっては大切。
まだ試していませんが、フォトショップにはフォトショップ使いの達人たちが用意したいろいろな種類のアクションツールが用意されています。それでもって、ノイズはダーク減算でなく(ダーク画像を撮るのも手間暇かかります)ノイズニンジャやNeat Imageなどのノイズ用ソフト(フォトショップのプラグインとして利用可)を併用する方が、一般的にはより少ない手間暇でそこそこの絵を得ることができると思っています。
事実、今回ノイズ処理はNeat Imageで行いました。露出時間が2分程度と短いため、元画像にそれほどノイズがなかったので、使わなくてもよかったのですが。
最後の写真はおきまりのオリオン大星雲。
この写真だけ300mmのレンズを使いました。毎回300mmのレンズには苦労させられていますが、今回も例外にはあらず。ノータッチガイドは2分が限度。
おそらく三脚と雲台をさらに頑丈なものに変えたら4分までは理論上いけるはずなのですが。
オリオンの方向は空が比較的澄んでおり、追尾も上手くいったためいつもより少しだけシャープに写りました。今年撮った中では一番のできばえ。なんといってもコンポジットしていない1枚ものです。大満足です。
今日の胎内、深夜12時頃もう一人の天体写真マニアの方が来ました。
この人は明け方まで撮影するのでしょうね。なにやら複雑なセッティングをしています。オートガイドさせるのでしょうね。そこまでやると器材の合計額が100万円近く必要になるので、まだぼくは指をくわえて眺めるより仕方ありません。ちょっと羨ましいかな。
帰り、4km離れた胎内スキー場風倉ゲレンデ入り口の駐車場へ立ち寄り、胎内平とどちらの空が暗いか確認してみました。
距離が近いので差はわずかなのですが、それでも風倉の方が暗かったです。
こちらから胎内平を眺めると、ぼんやり台地が光で浮き上がっているように見えます。
近くに胎内グランドもホテルもあるし、川に架かる橋にはとても明るい水銀灯がたくさんあります。それらが影響しているようです。
風倉ゲレンデがあるため、冬でも駐車場へ至る道は除雪されます。従ってここの入り口にある大広場は冬でも撮影できるのです。
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星座の事典 著者:沼澤 茂美/脇屋 奈々代 |
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